涌井秀章は楽天で復活するのか!? 素人がセイバーで見てみる原因の追求
気づけばもうオリンピックイヤーになってしまった、という事実に震えています。
メッカンダです。
今回は19年冬に楽天に金銭トレードで移籍した涌井選手について取り上げたいと思います。
移籍したロッテでもエースとして活躍していた涌井ですが、今年は2軍落ちも3回ほどあり、本人にとっても苦しいシーズンだったと思います。
ではここ3年の成績を比較しながら見ていきましょう。
2017~2019の成績
防御率などほぼ全て成績が悪化しているのがわかります。
ちなみに投球回も先発数を割って平均投球回を出すと、ここ3年で一番悪いです。
そんな状態になってしまった涌井投手の、成績悪化の原因を指標などから探っていきたいたいと思います。
そもそも涌井選手はどんな投手か?
最高球速150kmを出し、変化球も多い本格派右腕でイニング数も稼げる優秀な先発ピッチャーでした。
対左にはフォーク・チェンジアップ、対右にはスライダー・シュートを多用するのが基本的な投球術です。
直近3年の球種別データ
引用元:https://baseballdata.jp/
ここ3年の球種別データをまとめてみました。過去3年で最も悪化している数字の箇所を赤字にしています。
データを見ると
・全体的に今年は変化球の被打率が悪化、ただし全体的に空振り率や見逃し率は前年比で良化。
・ストレートは空振り率・見逃し率で悪化傾向。
まとめるとストレートは見逃さず当てやすい傾向になりつつあり、変化球も過去三年で一番空振りや見逃しを奪えるが、当てられると安打になりやすいといった感じでしょうか。
まだ原因を特定するには難しいですね・・・一般的には空振り率が高いと被打率も下がる傾向ありますし。
変化球の被打率は対左右の成績にも関わるので、続いてここ三年の対左右別打率を確認してみましょう。
直近3年の左右被打率
引用元:https://baseballdata.jp/
基本的には右より左打者が得意ですが、今年はその左打者への成績も悪化しているのがわかります。
K/BBはここ三年比では一番優秀なので先ほど球種別でのデータと組み合わせると、コントロールはよく空振りも取れてはいるが、バットに当たると安打・長打になる可能性が高い、という形になるでしょうか。
対左の被打率が年々悪化しているのが気になるので、今年の投球マップを見てみましょう。
引用元:https://spaia.jp/baseball/npb/player/500014
対左の投球マップを注視してみると、外角真ん中から低めは投球割合が高い中で被打率が低めです。しかし投球割合の低い内角が被打率が高いのが気がかり。
外角低めに投げるのがおおよそフォーク・チェンジアップ・ストレート、内角に投げるシュート・カットボールなどが捉えられていると考えるべきでしょうか。
もう一つ、対左の投球割合としてはアウトハイが多いのが気になるところ。対左はK/BBでもわかる通りコマンドが落ちる傾向にありますが、投球割合が高いので意図的に投げ込んでる可能性はあります。
さて対右打者を見てると、左と傾向が逆で内角は低め以外が被打率が低いのに対し、外角は真ん中が悪化傾向にあります。スライダーは低めに来ないと打たれる、シュートやチェンジアップも内角低めが持ってかれているといった印象を受けます。
さて今年ロッテ投手陣が大きく影響を受けた要素がもう一つあります。
以前の鈴木大地選手の記事でも取り上げた、ホームランラグーンの設置です。
2018年の成績とPFと比較して、その影響を確認しておきましょう。
2018~2019ZOZOマリンのPF
引用元:https://ranzankeikoku.blog.fc2.com/blog-entry-2719.html
2018~2019涌井選手指標
引用元:http://nf3.sakura.ne.jp/Pacific/M/p/18_stat.htm
まずPFから比較してみると、ホームランラグーンがついたことでPFが大幅に上がっています。2018年はHRが出にくい球場と言われる京セラ・札幌ドームと同じ数値だったので、打者有利に傾いたと言えます。ただ打高球場(東京ドーム・神宮・ハマスタ・ヤフド)はおおよそ1.20~1.40を記録しているので、HRが普通に出るぐらいになったぐらいのイメージでいいでしょう。
涌井選手の成績と合わせてみると、被本塁打が増えたのはラグーン効果といえるかもしれしれません。ただし援護点も増えているので、デメリットのみ享受していたわけではないのが分かります。
そして指標をみていて、少し気になる点がいくつか。
まずGO/AOの割合が低下していること。この値が低いほどフライアウトが多いということなんですが、2017年もGO/AOが1.13だったことを踏まえると、「ゴロアウトが取れない」=フライになる強い打球を飛ばされているということになるはずです。つまり変化球でゴロを取れなくなっている可能性が高いです。
もう一つ、今年は残塁率(LOB%)が低く出塁したランナーを返しがちですが、どうも被BABIPを見ると若干運が悪かった可能性も否めないです。(平均は3.00、高いと運が悪いということになる)
総括
今までのデータから分かるとして
・コントロールは劣化しておらず、空振りも取れる
・ただしゴロが取れなくなりつつある(=強い打球を飛ばされている)
・特に変化球はフォークを除き悪化傾向に、空振りを取るか打たれるかの構図
・成績悪化は対左の被打率が上昇したのが大きな要因の一つ
・対左は内角や外角高めで打ち取れていない
・フライボーラー化が進んだところに、ホームランラグーンの影響でダブルパンチ
といった感じでしょうか。
涌井選手の課題と期待
極端に言えば今の状態はストライクゾーンで勝負できる球種がなくなりつつある状態と言えるでしょう。
涌井選手の年齢を考えると球速などの出力アップは厳しいでしょうから、モデルチェンジか変化球(特にシュート・スライダー)の変化量を調整することなどが必要かもしれません。投球マップを見ている限り、外角低めへの投げ分けができているので変化球の被打率が下降するようであれば楽天でもローテの一角を務めることは可能だと思います。
あと2つ追い風になるかもしれないポイントがあります。
一つは楽天のホーム球場楽天生命宮城のPFを考えると、被本塁打が少し減る可能性があること。
もう一つは来期楽天外野陣(島内・辰巳・オコエ・田中和)が守備範囲が割かし広く、フライボーラー化していても多少は誤魔化しがききそうという点です。
楽天先発陣は松井先発転向もあり、頭数はそろいつつありますが是非ともローテを守る活躍をして頂きたいです。
期待する成績はこちら
2020年の楽天イーグルスに乞うご期待。
シーズン始まるまでにFA補償できた酒井選手の記事も書こうと思います。
ではでは。